ツンドラの住人 -ノースウエスト準州の大地-
イエローナイフから東に約380km、飛行機を乗り継いでフロートボートで降り立ったツンドラの大地。見渡す限り、殺風景な平原が続いている。北の大地の生き物の密度は、極めて低い。
この地を訪ねる前、こんな写真は簡単に撮影できると思っていた。それでも、大きく切り取りたいと思い、直前にシグマ50-500mmを購入して持参した。一応旧型のED 50-200mm F2.8-3.5も持参したが、殆ど出る幕はなかった。まだE-3登場前で、E-510が最新鋭のフォーサーズ機。オリンパスの夜明け前だ。
最初の2日間は周囲をどんなに捜しても、カリブーに会うことはできなかった。出会った生物は、ハヤブサと北極スズメ、地リス、野リスくらいだった。初めてカリブーを目撃したのは、移動中の小さなモーターボートの上だった。揺れる船上で、手持ちで撮影した。
キャンプからかなり離れて捜すうちに、何度か移動するカリブーに出会う事ができた。ところがどっこい、なかなかカリブーの近くには寄れない。人間の気配を察すると逃げないまでも、大きく迂回してしまう。大いに、シグマ50-500mmは力を発揮してくれた。
もし、このレンズがなければ、カリブーの写真もただの風景写真になっていたに違いない。頼りになるやつだ。
18日に紹介した写真の別カット。この広さ、もちろん僕の後ろにもこんな風景が広がっている。この大自然の中に、ひっそりと立っている十字架、何ともアンバランスな光景だった。この感覚は、なかなか写真では伝わらないと思うが・・・。
生物密度が極めて低い大地で、生きていくことの難しさ。狩猟シーズンだけこの地に滞在したとしても、その生活振りの過酷さは、僕の経験では想像することさえもできない。
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